日吉大社は日吉、日枝、山王神社の総本宮。比叡山の東麓に鎮座し、豊かな杜を有する古社です。神域の入り口には独特の形をした山王鳥居が立っています。
この記事の内容
アクセスなど
坂本は比叡山延暦寺、日吉大社の門前町として栄えたところ。比叡山へ上るケーブルカーの駅があります。
電車を利用すると京都駅から最寄りの京阪・坂本比叡山口駅までは30分ほどです。(思っていたより近い!京都駅から嵐山へ行くのと同じくらい)
私の行程を記すと、京都駅からJR湖西線で大津京駅に行き、いったん下車。コインロッカーに荷物を預け(現金のみ!)、京阪線に乗り換えて坂本比叡山口駅下車。日吉大社までは徒歩10分くらいです。
↓ 駅から西へ少し歩くと鳥居が見えてきました。二の鳥居です。
一の鳥居は駅の東側、日吉大社とは反対方向にあるので、今回は一の鳥居とは会えずじまいでした~
JR湖西線の比叡山坂本駅からだと一の鳥居を経由することになり、こちらが正式な参拝ルートということですね。(徒歩20分)
↓ 境内の入り口に着きました。三の鳥居かと思いきや、「赤鳥居」というそうです。
この先で「入苑協賛料」300円(小人150円)を納めます。国宝・重文などの文化財の維持・管理のために頂いているとのこと。納得。
お寺ではよく「拝観料」を納めますが、「文化財維持・管理料」などとと言われたほうが気持ちよく払えるんじゃないかな、なんて思ったりしました。
日吉、日枝、山王神社の総本宮
創祀は約2100年前
↓ 境内に入ると正面に八王子山が見えます(標高381メートル)。
↓ 山頂の右下に茶色い建物が見えます。
八王子山(牛尾山)は、日吉大社の東本宮(ひがしほんぐう)のご祭神である大山咋神(おおやまくいのかみ)が降臨した場所とされています。
『古事記』に「大山咋神、・・・日枝の山(←比叡山のこと)に坐し」とあることから、大山咋神は比叡山の山の神さまとされています。
八王子山には現在でも金大巌(こがねのおおいわ)をはさんで、牛尾宮と三宮の2つの摂社が鎮座しています。(見えているのはおそらく牛尾宮)
この牛尾宮の里宮としてつくらた東本宮に、大山咋神を祀ったのが日吉大社の創祀と伝えられています。時は崇神天皇7年、約2100年前のことになります。(Wikipediaより)
3つの神社がひとくくりなのは、なぜ?
日吉大社は全国に約3,800社ある日吉神社、日枝神社、山王神社の総本宮です。
この3つの神社をひとくくりに言うのはなぜでしょう?
8世紀後半に最澄が延暦寺を開いたとき、中国・唐の天台宗本山に祀られていた山王祠の例にならって、比叡山の地主神である大山咋神を山王権現として祀り、日吉社を延暦寺の守護神、天台宗の護法神としました。
天台宗の発展とともに山王信仰が広まり、日吉社は全国各地に勧請され、栄えました。
日吉社はもともと日枝社でしたが、好字の「吉」を当て日吉社とし、次第に「ひよし」の読みが定着していったということのようです。
まとめると、日吉と日枝に違いはなく、神仏習合の影響で山王の名称も用いられたということですね。
↓ 赤鳥居をくぐった右手には、第18世天台座主・元三大師(がんざんだいし)を祀る求法寺(ぐほうじ)があります。
求法寺は、比叡山中興の祖である慈恵(じえ)大師良源大僧正(元三大師)が、12歳の頃、比叡山への入山修行の決意を固めたところ。そのため、求法寺と名づけられています。
↓ 元三大師は埼玉県の川越大師 喜多院のご本尊としても祀られています。
重文の日吉三橋
少し進むと橋に来ました。大宮橋です。
境内を流れる大宮川にかかる3つの石橋を日吉三橋(さんきょう)といい、いずれも国の重要文化財に指定されています。
↓ 大宮橋のすぐ近くにある走井橋(はしりいばし)。
↓ こちらは、帰りに渡った二宮橋。
神仏習合を表す山王鳥居
大宮橋を渡り、参道を進むとお目当ての山王鳥居が見えてきました。
山王鳥居は、山王権現を祀る神社に独特のもので、東京では赤坂の日枝神社で見られるようです(まだ行ってませんが・・・)。
写真のように、鳥居の最上部、笠木(かさぎ)の上に山形(合掌形)に組んだ木材を置いたもので、合掌鳥居、あるいは総合鳥居ともいうそうです。
2つの本宮
日吉大社には、先ほど触れた東本宮と西本宮の2つの本宮があります。
1つの本殿に複数のご祭神を祀る神社はこれまで見てきましたが、二柱のご祭神が離れた位置で祀られている神社は今回が初めてでした。
西本宮
日吉大社の建物は織田信長の比叡山焼き討ちによりすべて灰燼に帰しましたが(NO!!!)、16世紀後半に再建され現在の姿になっています。
↓ 西本宮楼門です(重要文化財)。
神使は「まさる」さん
日吉の神さまのお使いは猿です。「神猿」と書いて「まさる」と呼ぶのだそうです。
「魔が去る、何よりも勝る」ということからお猿さんは縁起の良いものとされ、古来より大切に扱われてきたとのこと。
←楼門の軒下のまさるさん。かくれんぼかな?
↓ 絵馬もまさるさんです。お猿さんの顔を自由に書くようです。
↓ こちらは拝殿です(重要文化財)。
日吉大社の主な社殿は、拝殿と本殿が別棟になっていて、拝殿は四方が開け放たれたつくりになっています。
↓ 本殿です(国宝!)。
本殿は、日吉造(ひえづくり)という独特の建築様式でつくられています。(東本宮のところで少し解説します)
7世紀後半、天智天皇が近江大津宮遷都後、都の鎮護のため新たに西本宮を建立し祀ったとのことです。
東本宮
↓ 東本宮楼門です(重要文化財)。
↓ 中に入るとこんな感じ。
↓ 摂社の樹下宮( じゅげぐう )本殿(重要文化財)。
日吉造
東本宮・西本宮・宇佐宮(後述)の本殿は、日吉造(ひえづくり)と呼ばれる独特の建築様式でつくられています。
日吉造は、檜皮葺の屋根の正面と両側面に庇をつけ、庇をつけない背面側は垂直に切り落としたような形になっているもの。
日吉大社の社殿が典型的な日吉造とのことです。
山王七社
西本宮、東本宮と5つある摂社(宇佐宮、白山宮、樹下宮、牛尾宮、三宮)を山王七社と呼びます。
宇佐宮(うさぐう)
東西の本宮と同じように、拝殿と本殿が別棟になっています。
白山宮(しらやまぐう)
三宮遥拝所/牛尾宮遥拝所
八王子山山頂部にある2つの摂社の遥拝所です。
片道30分の登山とのことで、この後のスケジュールを考えて断念しました。(言い訳?)
このほか、大小の摂社・末社がありますが、割愛します。
山岳信仰について
山に降臨した神さまを祀る神社というと、京都の上賀茂神社を思い出しました。神山(こうやま)に降臨した賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)を祀っています。
古代の日本人は、きれいな山などに神が宿ると考えたのでしょうね。
↓ 写真は上賀茂神社を参拝したときに撮ったものです。写真左が神山。丸みを帯びた山容が八王子山に似ていると思いませんか?
↓ 上賀茂神社の記事がありますので、ご興味のある方はどうぞ。
御朱印
直書きです。右上の朱印は「まさるさん」です。(薄くてよくわからないかもしれませんが)
●日吉大社の基本情報
・日吉神社、日枝神社、山王神社の総本宮
・近江国一宮
・式内社(名神大社)/二十二社(下八社)/旧官幣大社/別表神社
・ご祭神:西本宮:大己貴神/東本宮:大山咋神
・創祀:崇神7年
・文化財:国宝、国指定重要文化財
・滋賀県大津市
2023(令和5)年5月23日(火)参拝(61歳2か月)