中尊寺金色堂は総金箔貼り。「光堂」とも呼ばれます。外観もさることながら、内陣の意匠がすばらしく目を奪われます。
この記事の内容
黄金色に輝く金色堂
讃衡蔵(さんこうぞう・宝物館)に続いて金色堂を拝観します。
見えている建物は金色堂を風雪から守るためのお堂で、覆堂(おおいどう)と呼ばれます。
堂全体が一つの美術工芸品
覆堂内にあるのが金色堂。
金色堂は堂の内外に金箔を押した「皆金色(かいこんじき)」の阿弥陀堂です。光堂とも呼ばれます。
藤原清衡(きよひら)公が建立しました(1124年上棟)。
▼内陣
須弥壇には計11体の仏像が安置されています。
中央にはご本尊の阿弥陀如来、向かって右に観音菩薩、左に勢至菩薩。
その左右には地蔵菩薩が三体ずつ並び、手前には持国天と増長天が配されています。
このような須弥壇が全部で3つあります。
螺鈿や蒔絵による精緻な装飾
金はただただ「きれい~」と思ってしまいますが、それ以上に内陣に施された精緻で美しい装飾がすばらしく、見入ってしまいました。
4本の巻柱や須弥壇、長押などが、白く光る夜光貝の螺鈿や金・銀の蒔絵などで装飾されています。
●螺鈿(らでん)
貝の真珠質の部分を文様に切り、平らに磨いて漆地または木地にはめこんだり貼りつけたりして装飾する工芸技法。「螺」は貝、「鈿」は物を飾るの意
●蒔絵(まきえ)
漆工芸の技法の一つ。漆で文様を描き、乾かないうちに金銀粉や色粉などを蒔きつけて付着させ、文様を表す技法
平安後期の工芸技術の粋を集める
金色堂には平安時代後期の工芸技術が結集されており、平等院鳳凰堂とともに平安時代を代表する浄土教建築です。
12世紀の火災から焼失を免れた金色堂は、中尊寺創建当初の姿を今に伝えています。
奥州藤原氏の霊廟
孔雀があしらわれた須弥壇の内部にはご遺体(ミイラ)が金色の棺に納められ、安置されています。
・中央壇:初代・清衡公
・向かって左の壇:二代・基衡公
・向かって右の壇:三代・秀衡公と四代・泰衡公の首級
血筋の明らかな親子四代のご遺体の存在は、世界にもほかに例がないとのこです。
なお、来年(2024年)1月より東京国立博物館にて、建立900年 特別展「中尊寺金色堂」が開催される予定です。
再び、芭蕉
芭蕉は『奥の細道』の旅で高館(たかだち・源義経終焉の地)の後に中尊寺を訪れ、この句を詠んでいます。
高館義経堂の記事はこちら ↓
句の大意は以下です。
「長い年月を毎年降り続いて、すべての物を朽ちさせてきた五月雨も、この光堂だけは降り残したのであろうか。その名のように、数百年を経た今も光り輝いている」
実際には、芭蕉が訪れたときの光堂はすでに相当傷んでおり、芭蕉の心の中の風景を詠んだものとの説もあるようです。
▼参拝の順序とは異なりますが、旧覆堂。
中に入れます。
昭和43(1968)年の金色堂の解体修理「昭和の大修理」の際に現在地に移されました。
芭蕉や伊達政宗、明治天皇などはこの覆堂に入り、金色堂を参拝したとのことです。
▼経蔵
かつて国宝の中尊寺経が納められていたところです。
現在は宝物館の讃衡蔵で実物を見ることができます(【平泉・中尊寺本堂】の記事をご参照ください)。
中尊寺の鎮守 白山神社
境内のいちばん奥まったところに中尊寺鎮守社の白山神社があります。
白山神社の能舞台は、近世の能舞台遺構としては東日本唯一のものとされ、重文指定を受けています。
明治天皇もこちらで能舞をご覧になられたとのことです。
▼茅の輪をくぐってお詣りします。
参道(産道)を通り茅の輪をくぐることは、生まれたばかりの赤ん坊のような清浄な心に生まれ変わろうとすることなのだそうです。
▼生まれ歳ごとの小さなお社がありました。
▼寅歳生まれ守護神社にお詣り(自分の干支です)。
▼一通り参拝し終え、帰路につきます。
▼本日、平泉での足跡。(正確性に欠けますが、雰囲気は出てる)
▼3時過ぎにお昼ごはん(上の図面の「食事処」にて)。
ずんだ餅に惹かれて注文。温かいずんだを初めて食べました。甘すぎずすごくおいしかった。
平泉に富岡八幡宮?
平泉駅までの帰り道。
往きに歩いた中尊寺通りではなく、県道300号(旧国道4号)を歩いていると・・・
▼白いのぼりに「富岡八幡宮 神饌田」の文字。
※神饌田:神さまにお供えするお米をつくる田んぼ
この辺にも富岡八幡宮があるのかなぁ~同じ名前だけど?
気になって調べてみたら都内にある富岡八幡宮のことだったー。
※富岡八幡宮:東京都江東区にある神社。元准勅祭社、東京十社の一つ
なんでも、富岡八幡宮の協力で開かれるようになった「平泉水かけ神輿」の縁で、この地に神饌田が設けられるようになったとのことです。
4時半に到着。今夜は駅前のビジネスホテルにて宿泊です。
御朱印「金色堂」
直書きしていただきました。
●中尊寺の基本情報
・天台宗 東北大本山
・山号:関山(かんざん)
・御本尊:釈迦如来
・創建:850年
・開山:慈覚大師円仁
・文化財:国宝、重要文化財/世界文化遺産
・岩手県西磐井郡平泉町
2023(令和5)年10月17日(火)参拝(61歳7か月)