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神社仏閣めぐり初心者が始めた「なるほど」参拝紀行

【京都・相国寺】相国の 禅の名刹 今静か|60歳からの御朱印めぐり〔040/541〕

相国寺_法堂

相国寺(しょうこくじ)は室町幕府第3代将軍・足利義満が創建した禅寺。京都五山二位に列せられる名刹です。背の高い松の植木が印象的な境内は、禅寺らしい穏やかな空間でした。

この記事の内容

相国寺について

「国王兼首相(?)」が創建

相国寺臨済宗相国寺派大本山

開基は室町幕府の最盛期を築いた足利義満です。

相国寺を創建したときの義満の官職は左大臣中国では左大臣を「相国」と呼称していたことなどから相国寺と名づけられました。

太政大臣は適任者がいなければ任命されない官職なので、左大臣が実質的な太政官の長官。今の日本に当てはめれば首相といったところでしょうか。

義満は外交では勘合貿易を始めたことで知られていますが、その際、中国・明王朝朝貢して「日本国王」に冊封されています。

なので、相国寺は当時の認識では、国王兼首相が建てたお寺といったイメージだったのかもしれません。

相国寺_総門

総門

一時は京都五山の一位に

義満は五山の制をととのえ、新たに建立した相国寺京都五山の二位に据えました
※五山:禅宗臨済宗)の寺院を格付けした制度

その後、義満の存命中には京都五山一位となりました。(義満の死後、二位に戻る)

京都五山についてはこちらの記事で少し触れています。

pirooh.hatenablog.com

往時は約144万坪の広大な敷地に50余りの塔頭を擁し、高さ約109mの七重大塔を有する(落雷により3度焼失)など、すごいスケールだったようです。

144万坪は東京ドーム約101個分の広さ
※東京ドームの面積:46,755m2。47,000m2で計算

高さ109mは25~30階建てのビルに相当、現存する日本一高い木造建築である東寺・五重塔(55m)の2倍近い高さです。

当時は隆盛を誇っていましたが、応仁の乱などの兵火や火災などで何度も焼失・再建を繰り返し、明治の廃仏毀釈を経て現在に至っています。

禅寺の空気が漂う

総門から境内に入るとこんな感じです。↓

相国寺_参道

奥に見えるのは庫裏(くり)

上の写真の左側(西側)から境内を出て少し歩くと京都のメインストリートの一つである烏丸通に出ますが、境内の中ほどは静かで、落ち着きます。

相国寺_庫裏

庫裏

最近、白壁と縦横の木組みの建物を見ると、「禅寺に来たんだな~」と感じるようになりました。(ほかの宗派でも白壁の建物はあるかもしれませんが)

「春の特別拝観」法堂・方丈・浴室

参拝日は「春の特別拝観」期間中で、法堂(はっとう)・方丈・浴室を拝観しました。

「最大最優秀作」の法堂

法堂は、経典を講義したり、説法したりする建物のこと。他の宗派では講堂と呼んだりするところです。

相国寺_法堂

法堂「無畏堂(むいどう)」

現在の法堂は、徳川家康の命により豊臣秀頼(秀吉の息子)が寄進し、1605年に再建されたもの(5度目の再建!)。

現存する法堂としては最古のもので、桃山時代にできた禅宗様建築としては、最大最優秀作(相国寺ホームページより)」といわれており、国の重要文化財に指定されています。

相国寺_法堂

国指定重要文化財

相国寺の法堂には、運慶の作と伝わる御本尊の釈迦如来像が安置されています。

御本尊は本来、仏殿に安置されるものですが、焼失後再建されなかったため、法堂が仏殿を兼ねる形になっています。

相国寺_法堂

石畳のあたりにかつては仏殿があった

↑ 写真を撮っているときは松の木が邪魔だなと思ったのですが、改めて見ると、特徴的な景観をつくりだしているように思えてきました。↓

相国寺_法堂

法堂の中に入ると、天井に龍の図が描かれていました。禅寺の法堂にはだいたい龍の絵がありますね。

「蟠龍図(ばんりゅうず)」というもの(狩野光信筆)で、手をたたくと反響するので「鳴き龍」とも呼ばれているとのこと。(内部は撮影禁止)

仏殿の中で手を打つのは戸惑いがありましたが、案内の方に勧められて決められた場所で手を叩いてみました。確かに反響はしていました・・・

方丈:庭園がきれい

方丈は禅宗寺院における住職の居室、あるいは、住職そのものを指します。

相国寺_方丈

方丈の前庭。後方の大きな屋根は法堂

部屋の内部以外は撮影OKです。

相国寺_法堂杉戸絵

杉戸絵「白象図(はくぞうず)」

相国寺_方丈

方丈の西側。いい感じです

裏側に回り込みます。

相国寺_方丈

相国寺_裏方丈庭園

裏方丈庭園。苔庭に石の川

相国寺_裏方丈庭園

相国寺_裏方丈庭園

桜もさることながら緑がきれいでした

相国寺_方丈

浴室にも仏さまが

浴室は禅宗寺院の七堂伽藍の一つに数えられる重要な建物。4年ぶりの公開とのこと。
※七堂伽藍:仏教寺院の主要な七つの建物。七堂は宗派によって異なる

五右衛門風呂のような湯舟とおぼしきものがありました。(パンフレットを読むと湯舟ではなさそう)

案内の方に教えていただいたのですが、浴室には跋陀婆羅菩薩(ばったばらぼさつ)という仏さまが安置されているそう。

禅宗寺院では浴室にこの菩薩さまが安置されるらしいです。浴室も修行の場なのでしょうか?

相国寺_八幡宮

鎮守八幡宮

相国寺_鐘楼

鐘楼「天響楼(てんきょうろう)」

相国寺_経蔵

経蔵

相国寺_鐘楼

鐘楼「洪音楼(こうおんろう)

相国寺_弁天社

弁天社

御朱印

今さらながらですが、お寺の御朱印は味わいがありますね。

直書きされているのは、法堂の「無畏堂」。「本来、畏れることなく法を聞くお堂・法堂」という意味が込められているそうです。

相国寺_御朱印

 

相国寺(相國承天(じょうてん)禅寺)の基本情報

臨済宗 相国寺派 大本山
山号:萬年山(まんねんざん)
・御本尊:釈迦如来
・創建:1382年
文化財:国指定重要文化財
京都市上京区

2023(令和5)年3月29日(水)参拝(61歳0か月)