平安京遷都の際、官立の寺院として建立された東寺。そのシンボル・五重塔は古都・京都のランドマークとして今なお人々を惹きつけています。
この記事の内容
東寺と空海
まずは、東寺と空海の関係について。
東寺のホームページなどを参考にまとめてみました。
・東寺は平安京遷都(794年)に伴い、王城鎮護のために都の正門である羅城門(らじょうもん)の東に建立された寺院(西には西寺が建立)
・空海は唐で学んだ密教の教えを広めるべく、講堂、五重塔などの造営に着手、教王護国寺と名づけ、真言密教の根本道場として整備
・約1200年の歳月を経た現在、東寺は現存する平安京唯一の遺構
東寺の御詠歌に次のようなものがあります。
「身は高野(たかの) 心は東寺に 納めおく 大師の誓いあらたなりけり」
学校の授業では、「真言宗=高野山金剛峯寺」と習った記憶がありますが、この御詠歌から東寺の存在の大きさを窺い知ることができます。
東寺の見どころ
五重塔:日本一の高さ、55mを誇る
国宝・五重塔は、現存する木造建築では日本一の高さ、55メートルを誇ります。
東寺を託された空海は、講堂の次に五重塔の造営に着手しました。
東奔西走し、東山に木材をようやく見つけたものの曳くことができず、朝廷に協力を申し出るなど、相当な難工事だったようです。
年表によると826年に着工し、完成したのが883年となっていますので、足掛け57年の歳月をかけた大事業だったということになります。
参拝の日は初層内部が特別公開。如来・菩薩像が安置され、密教空間が広がっていました。
↓ 写真は庭園の北側から植木越しに撮影したものです。
↓ おまけ
大師堂(西院御影堂):弘法大師のお住まい
大師堂は弘法大師の住まいだったところ。国宝に指定されています。
境内の西北にあり、西院御影堂(みえどう)ともいいます。
堂内には、大師の念持仏である不動明王像(秘仏)と、弘法大師像(どちらも国宝)が安置されていて、弘法大師信仰の中心になっているところとのこと。
※念持仏:日常的に身につけたり身近に置いたりして拝む仏像
※秘仏:普段は拝観が許されない仏像
不動明王をはじめとする他の仏さまたちは、真言宗(密教)では教主である大日如来の化身と考えられているんですね。
不動明王信仰については、こちらの記事で少し触れていますので、ご興味のある方はどうぞ。↓
司馬遼太郎氏の待ち合わせ場所
作家の故・司馬遼太郎氏は生前、年末年始を京都で過ごす習慣があり、たずねてきた人を案内するときはこの御影堂を待ち合わせ場所にしていたそうです。
京都を案内するには平安京最古の遺構である東寺を出発点にするのがふさわしいと考えたことなどがその理由だそうです。
なるほど。さすが・・・
東寺のホームページにも「東寺に来られたら、まず御影堂にお参りください。」の一文があります。
食堂:御朱印はこちらで
食堂(じきどう)は僧が食事をする堂であり、修業の場です。
禅宗寺院の庫裡(くり)にあたるところですね。
御朱印はこちらでいただきました。
講堂:圧巻の空海ワールド
講堂は、経典を講義したり、説法したりする建物のこと。
弘法大師が密教の教えを伝えるために中心的な建物としたところです(重要文化財)。禅宗寺院の法堂(はっとう)にあたります。
講堂の中には、真言宗の教主である大日如来を中心に、五菩薩、五大明王、四天王、梵天、帝釈天の二十一尊もの仏像が安置され、立体曼荼羅を作り出しています。
※曼荼羅(まんだら):密教版浄土の世界
言葉は適当ではありませんが、圧巻の眺め! 圧倒的な迫力。心が動きます。
●立体曼荼羅配置図
21の仏像のうち、16が国宝、5つが重要文化財に指定されています。
写真で紹介できないのが残念ですが、東寺に来たら必ず見るべきところだと思います。
金堂(本堂):ご本尊薬師如来を安置
金堂は東寺の本堂です。国宝に指定されています。
堂内には、ご本尊の薬師如来坐像と脇侍の日光・月光菩薩像(薬師三尊)・十二神将が安置されています。(いずれも重要文化財)
観智院
観智院は、真言宗の勧学院の役割をもった寺院。大学の研究室のようなところです。
客殿が桃山式の書院造りで国宝に指定されています。
内部では宮本武蔵が描いた絵を鑑賞できます。
御朱印
2種類の御朱印をいただきました。
●東寺(教王護国寺)の基本情報
・真言宗 総本山
・御本尊:薬師如来
・創建:796年
・文化財:国宝/国指定重要文化財/世界文化遺産
・京都市南区
2023(令和5)年3月7日(火)参拝(61歳0か月)